個人事業の廃業

【2026年版】個人事業主の廃業届の書き方・提出期限・出し忘れのリスクを税務の実務目線で解説

個人事業をやめるとき、税務署に提出する「個人事業の開業・廃業等届出書」——いわゆる廃業届は、記入自体は10分もあれば終わる簡単な書類です。ところが「いつまでに出すのか」「廃業日は何日にすべきか」「他にどの届出が必要か」でつまずく方が非常に多く、放置すると翌年以降も確定申告の案内が届き続けたり、青色申告の特典を失うタイミングを誤ったりします。この記事では、国税庁の公式情報に基づいて、廃業届の提出期限・書き方・セットで出すべき書類・出し忘れた場合の対処法までを一度に整理します。

結論:廃業届は「廃業日から1ヶ月以内」に納税地の税務署へ

国税庁の案内によると、個人事業の開業・廃業等届出書の提出期限は事業の廃止等の事実があった日から1ヶ月以内です。提出期限が土日祝日に当たる場合は、その翌日が期限になります。提出先は納税地(通常は自宅住所)を管轄する税務署で、窓口持参・郵送・e-Taxのいずれでも提出できます。手数料は無料です。

項目内容
書類名個人事業の開業・廃業等届出書
提出期限廃業日から1ヶ月以内
提出先納税地を管轄する税務署
提出方法窓口・郵送・e-Tax
手数料無料
罰則出し忘れても罰則はないが、放置のデメリットあり(後述)

出典: 国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続

廃業日はいつにすべきか

廃業日は自分で決められます。実務上よく選ばれるのは、(1) 最後の売上・取引が完了した日、(2) 月末、(3) 12月31日(年末)の3パターンです。年の途中で廃業しても、その年分の確定申告は必要です。事業税の見込控除や償却資産の整理を考えると、年末廃業は申告が1回で済み、経費の切り分けもシンプルになるため、急ぐ理由がなければ12月31日を廃業日とするのが分かりやすい選択です。逆に、体調や資金繰りの事情で早く畳みたい場合は、無理に年末まで引っ張る必要はありません。

廃業届とセットで出すべき書類

廃業届だけ出して終わり、ではない点に注意が必要です。国税庁の「廃業する場合」ページにある通り、あなたの状況に応じて以下の届出が必要になります。

書類必要になる人期限
個人事業の開業・廃業等届出書全員廃業日から1ヶ月以内
所得税の青色申告の取りやめ届出書青色申告をしていた人廃業年の翌年3月15日まで
事業廃止届出書(消費税)消費税の課税事業者事由発生後すみやかに
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書従業員や専従者に給与を払っていた人廃止から1ヶ月以内
所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書予定納税をしている人第1期分は7月15日まで等

このほか、都道府県税事務所への「事業開始(廃止)等申告書」(個人事業税)の提出も必要です。名称や様式は都道府県により異なるため、お住まいの都道府県税事務所のサイトで確認してください。

出し忘れるとどうなるか

廃業届の未提出に罰則はありません。ただし放置すると、税務署側はあなたを「事業継続中」として扱い続けるため、確定申告書類や振替納税の案内が毎年届く、無申告と誤認されて問い合わせが来る、国民健康保険の軽減判定や各種給付の手続きで事業状況の説明を求められる、といった実害が起こりがちです。廃業日から1ヶ月を過ぎてしまっていても受理はされるので、気づいた時点ですぐ提出するのが正解です。

e-Taxでの提出とデータ準備

e-Taxソフト(WEB版)を使えば、税務署に行かずに廃業届を提出できます。マイナンバーカードとスマートフォン(またはICカードリーダー)があれば、画面の案内に沿って「個人事業の開業・廃業等届出書」を選び、氏名・納税地・廃業日・廃業理由などを入力して送信するだけです。入力項目自体は紙の様式と同じなので、事前に記入内容を整理しておくと5分程度で完了します。

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よくある質問

Q. 廃業後に売掛金の入金や経費の支払いがあった場合は? 廃業後に生じた必要経費は、一定の要件のもと「事業を廃止した場合の必要経費の特例」(所得税法63条)により、廃業年分などの所得計算に算入できる場合があります。金額が大きい場合は税務署か税理士に確認してください。

Q. 屋号の廃止や許認可はどうなる? 税務署への廃業届と、保健所・警察署などの許認可の廃止手続きは別物です。飲食店営業許可、古物商許可などを持っている場合は、それぞれの窓口での廃止手続きを忘れずに行ってください。

Q. 廃業ではなく法人成りする場合も廃業届は必要? 必要です。個人事業を廃止して法人に切り替える場合も、個人側では廃業届(と青色申告の取りやめ等)を提出し、法人側で新たに設立関連の届出を行います。


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