補助金

廃業に使える補助金はある?事業承継・M&A補助金「廃業・再チャレンジ枠」を徹底解説【上限300万円】

「廃業するのに補助金なんて出るの?」と驚かれることが多いのですが、答えはイエスです。国の中小企業生産性革命推進事業の一つである事業承継・M&A補助金には「廃業・再チャレンジ枠」が設けられており、廃業に伴って発生する費用の一部が補助されます。この記事では、対象者・補助額・対象経費・申請の流れと注意点を、公式の公募情報に基づいて整理します。

制度の概要:補助率2/3または1/2、上限300万円

事業承継・M&A補助金は中小企業庁が実施する補助金で、事業承継やM&Aを促進するための複数の申請枠で構成されています。そのうち廃業・再チャレンジ枠は、事業承継やM&Aの実施に伴う廃業等、およびM&Aで事業を譲り渡せなかった中小企業者等が再チャレンジに取り組むための廃業に係る費用を支援するものです。

項目内容
実施主体中小企業庁(中小企業生産性革命推進事業)
対象廃業等を行う中小企業者・小規模事業者(個人事業主含む)
補助率2/3 または 1/2
補助上限300万円(単独申請の場合)
併用事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠と併用申請可能
直近の公募15次公募: 2026年2月27日〜4月3日(令和7年度補正予算)

出典: 事業承継・M&A補助金(令和7年度補正予算)公式サイト中小企業庁: 事業承継・M&A補助金(15次公募)中小機構: 15次公募の公募要領公開について

公募は年に複数回行われるのが通例ですが、各回の申請受付期間は1ヶ月強と短いため、「次の公募が始まってから準備する」のでは間に合わないことが少なくありません。廃業を検討し始めた段階で、公式サイトの公募スケジュールを確認しておくことをおすすめします。

対象になる経費の例

廃業・再チャレンジ枠で補助対象となる経費は、公募回により細部が変わりますが、おおむね次のような「廃業に直接必要な支出」が中心です。

経費区分具体例
廃業支援費廃業に係る士業専門家(税理士・司法書士等)への相談費用
在庫廃棄費既存事業の商品在庫の廃棄処分費
解体費事業用建物・設備の解体費用
原状回復費賃借していた店舗・事務所の原状回復工事費
リースの解約費リース契約の中途解約に伴う違約金等
移転・移設費用再チャレンジに向けた設備等の移転費用(併用申請の場合)

逆に、登録免許税そのものや、廃業と関係のない一般管理費は対象外になるのが通例です。必ず最新の公募要領で対象経費の定義を確認してください。

申請の流れと注意点

申請は電子申請システム(GビズIDが必要)で行います。おおまかな流れは、(1) GビズIDプライムの取得(発行までに時間がかかるため最優先)、(2) 公募要領の確認と事業計画の作成、(3) 電子申請、(4) 採択・交付決定、(5) 廃業関連の支出実行、(6) 実績報告・補助金受領、という順番です。

最大の注意点は、交付決定前に支出した経費は原則補助対象にならないことです。「もう原状回復工事を発注してしまった後に補助金を知った」というケースでは使えません。つまり、廃業を思い立ったらまず補助金のスケジュールを確認し、支出の順番を設計することが、もらえるか・もらえないかの分かれ目になります。

また、廃業・再チャレンジ枠は「再チャレンジ」——つまり廃業後に新たな取り組み(再就職・新事業・別事業の継続など)を行うことが要件に含まれる公募回が多い点にも注意が必要です。単純に「畳んで終わり」の場合には対象にならない可能性があるため、公募要領の要件確認が欠かせません。

補助金だけで判断しない——「売れるなら売る」が先

廃業費用の一部が戻ってくるのは大きな助けになりますが、順番として先に検討すべきは「その事業、畳む前に売れないか?」です。設備・顧客・許認可・ウェブサイトなどに値が付けば、廃業費用がかかるどころか手取りが残る可能性があります。中小企業のM&Aでは「時価純資産+営業利益2〜5年分」が売却価格の目安とされており、小さな事業でも買い手が付くケースは珍しくありません(詳しくは事業売却の相場記事をご覧ください)。

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