会社を畳む費用はいくら?解散・清算の実費と専門家報酬の全内訳【株式会社・合同会社】
「会社を畳むのにもお金がかかる」——これは事実ですが、ネット上の情報は「数十万円かかる」という漠然としたものが多く、何にいくらかかるのかを正確に把握できている経営者は多くありません。実際には、費用は**法律で決まっている実費(登録免許税・官報公告費)**と、依頼するかどうかを選べる専門家報酬の2層に分かれます。この記事では株式会社を通常清算で畳む場合を中心に、費用の全内訳と、費用を抑えるための現実的な選択肢を解説します。
費用の全体像:実費は約7〜8万円、総額の相場は15万〜40万円
株式会社の解散・清算にかかる法定実費は、おおむね次の通りです。
| 費目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 解散登記の登録免許税 | 30,000円 | 法定費用 |
| 清算人選任登記の登録免許税 | 9,000円 | 法定費用 |
| 清算結了登記の登録免許税 | 2,000円 | 法定費用 |
| 官報公告(解散公告)掲載費 | 約33,000〜40,000円 | 行数により変動(1行あたり3,263円、標準11行前後) |
| 登記事項証明書等の実費 | 数千円 | 取得通数による |
| 法定実費合計 | 約75,000〜85,000円 | 自分で全て行った場合の最低ライン |
ここに司法書士(登記)・税理士(清算確定申告)への報酬を加えると、総額はおおむね15万〜40万円が相場となります。解散・清算の費用相場を15万〜30万円程度とする専門家の解説が多いのはこのためです(参考: 会社解散にかかる費用の解説、マネーフォワード クラウド会社設立: 解散から清算までの手続き・費用)。
官報公告の料金は掲載行数で決まります。解散公告は1行3,263円で、標準的な文案では11行前後、約3.6万円が目安です。(出典: 官報公告の料金目安)
なぜ官報公告が必要なのか——省略できない2ヶ月
解散した会社は、債権者に「申し出てください」と知らせる債権者保護手続として、官報に解散公告を掲載し、2ヶ月以上の申出期間を置くことが会社法で義務付けられています。この2ヶ月は短縮できないため、どんなに急いでも解散日から清算結了まで最短で約2ヶ月半〜3ヶ月かかります。スケジュールの目安は次の通りです。
| 時期 | 手続き |
|---|---|
| Day 0 | 株主総会で解散決議・清算人選任 |
| Day 0〜14 | 解散・清算人選任登記(法務局)、官報公告申込 |
| Day 0〜2ヶ月 | 官報に解散公告掲載、債権者申出期間(2ヶ月以上) |
| 並行 | 解散確定申告(解散日から2ヶ月以内)、財産の換価・債務弁済 |
| 2ヶ月経過後 | 残余財産の確定・分配、清算確定申告 |
| 最後 | 清算結了登記(2,000円)、税務署等へ異動届 |
費用を左右する3つの分岐
第一に、債務超過かどうか。 資産より負債が多い(債務超過)場合は、通常清算ではなく特別清算や破産といった裁判所の関与する手続きが必要になり、費用も期間も大きく変わります。予納金や弁護士費用を含め数十万〜数百万円規模になることもあるため、まず自社が債務超過かどうかの判定が最重要です。
第二に、専門家にどこまで依頼するか。 登記書類(株主総会議事録・就任承諾書など)は定型的なので、ひな形があれば自分で作成・申請することも可能です。一方、清算中の確定申告(解散事業年度・清算事業年度)は税務の論点が多く、税理士に依頼するのが安全です。「登記は自分で、税務は税理士に」という組み合わせなら、総額を15万円前後に抑えられるケースが多くなります。
第三に、そもそも「畳む」以外の選択肢がないか。 事業や資産に値が付くなら、売却(M&A)すれば費用がかかるどころか手取りが残ります。また、いったん休眠にして判断を先送りする方法もあります(ただし維持コストとみなし解散のリスクあり——詳しくは休眠と解散の比較記事をご覧ください)。
廃業にも補助金が使える場合がある
あまり知られていませんが、国の**事業承継・M&A補助金には「廃業・再チャレンジ枠」**があり、廃業に伴う原状回復費・在庫処分費・解体費や登記等の専門家費用の一部(補助率2/3または1/2、上限300万円)が補助される制度があります(中小企業庁: 事業承継・M&A補助金 15次公募)。公募期間が限られているため、タイミングが合えば活用を検討する価値があります。詳細は廃業補助金の解説記事にまとめています。
まず「自社の場合はいくらか」を知ることから
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